先ほど、映画『タッチ・オブ・スパイス』をDVDにて鑑賞。
なんて可愛い映画でしょうか。 ストーリーを紹介します。 ネタバレですので、嫌な方は見てから読んで下さいね。
おじいちゃんっ子の主人公ファニスは、おじいちゃんの香辛料店で スパイスの知識を授けられながら育ちます。 幼友達はお母さんの親友の娘、サイメ。踊りの好きな可愛い女の子です。 おじいちゃんの店の屋根裏に入るのが許されているのは二人だけでした。 二人はその屋根裏でママゴトをしたり、おじいちゃんの話を聞いて過ごします。。 「辛くて熱い胡椒は太陽、シナモンは金星_絶世の美女だ。甘くて苦い」
ある日、トルコとギリシャの関係悪化によって、(キプロス問題) ギリシャ国籍のファニスの家族は強制退去を命じられてしまいます。 おじいちゃんとお母さんは残る資格があるらしいのですが、 お父さんはダメ。結局、おじいちゃんだけが残ることになりました。 ギリシャに行ってからのファニスは、おじいちゃんが教えてくれた スパイスの知識で異常なくらいの料理好き少年に。 あまりに料理に夢中になりすぎ、連絡も途絶えたサイメのことばかり 言う息子を心配した両親は、彼をボーイスカウトに入れます。 が、そこでも慰問先の売春宿で料理の手伝いをして お父さんが当局から愛国心の教育をするよう指導を受ける始末。
さて、別れ際におじいちゃんは『きっと会いにゆく』と言ったのですが 何年経っても行くという段になってトラブルがあったり具合が悪くなったり。 お父さんは言います。 『じいちゃんは来やしない。来たくないからだ。 おれだって、あの街から離れたくなかった。 思うだけならギリシャも美しい。でも、イスタンブールは特別なんだ。 退去を言い渡しに来た係官はイスラムに改宗すればトルコにいてもいいと 耳打ちしたよ。5秒迷った。即答できなかった』と。
天文学の教授として働くファニスの元に、おじいさん危篤の知らせが入ります。 取り急ぎイスタンブールに向かうファニス。 病院にいたおじいちゃんは意識がありませんでした。 ただ、スパイスを扱う時と同じ、指を擦り合せる仕草をするだけです。 程なくおじいちゃんは亡くなります。お葬式には、あの懐かしいサイメが。 ファニスはボスフォラス大学を訪ね、教員の職はないかと打診するのでした。
ファニスとサイメは、長い月日を埋めてあまりあるほどに惹かれ合いますが サイメには夫と娘がいます。夫とは仕事の都合で別居中だと言うのですが…。 娘の誕生日に夫ムスタファが帰って来てしまいます。 作中では、食事をしようとすると電話やインターフォンが鳴って 中断されるという、ファニスの不安と落胆を表す演出が何度もでてきます。 幼い頃に入国管理局の係官が来たのが食事中だったのが不安のモトなのでしょう。
サイメは夫のいるアンカラに戻ることになりました。 ファニスは呼び出したムスタファからそれを聞かされます。 彼女たちが発つ日、ポツンとイスタンブール駅に立つファニス。 今度はイスタンブールを去るサイメを見送るためです。 ホームで振り返ると再会の約束になってしまうよ、と言われたサイメは 一度も振り返りませんでした。 しかし、彼女の娘は笑って振り返ったのです。
昔のおじいちゃんの店にやってきたファニス。 屋根裏に上がると、おじいちゃんの座っていたイスも サイメが乗って踊っていたテーブルもそのままです。 胡椒の赤い粒を見つけたファニスは、おじいちゃんがしてみせたように 胡椒の恒星、塩の銀河系、ターメリックの星雲…と スパイス(spice)で宇宙(space)を描き始めるのでした。
全編に渡って暖かく優しい作品です。 国際問題、社会問題が入っている映画は、とかく悲惨になったり 人間の醜い部分を強調してしまうことがありますが この映画は最後まで美しいです。 でもとても自然で、無理にオキレイにしているようにも思えません。 素晴らしいです。
テーマ:映像・アニメーション - ジャンル:学問・文化・芸術
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